リアルフィクション4
昔話
蘊紀は言った。
「私達は薬は持ってないわ!!」
女は言った。
「・・・そう。そこまで隠すのね。いいわ。力ずくでも奪ってあげる。来る奴は来なさい。降伏したければ、薬を渡して死になさい。」
「なんで貴方はそこまで死ねって言えるの!?」
「・・・人間が嫌いなだけよ・・・。」
ωは言った。
「どうして人間が嫌いなんだ?」
女は言った。
「あのお方以外は嫌いだ!!人間は、あのお方の命令を、忠告を無視て・・・。無視までしといて、殺すなんて・・・。」
カイロは訪ねた。
「あのお方?そいつも人間だろ?」
女は言った。
「今は・・・違う。昔だって人間じゃなかった。あのお方は今、死んで、人間が言う、幽霊と言う物になって、屋敷にいる。昔は、私と同じ、人間の姿をした、獣(けもの)だった。つまり、人神(じんじゅう)。」
蘊紀は訪ねた。
「貴方も・・・人神(じんじゅう)なの・・・ね?」
「そう。それで、人神(じんじゅう)は長生きでさ、春、夏、秋、冬、ずっとあのお方と楽しく過ごしていたの。
何年も、何年も、ずっと楽しく・・・。
でも、人間が私からその幸せを奪ったの。」
蘊紀♘は訪ねた。
「その、人間は・・・誰なの?」
「ガルシルと、アマニア。
そいつらが、生き物を絶望させなければ、きっとあのお方は今も・・・。」
ωは、目を見開いて言った。
「父さんと・・・母さんの・・・名前。」
女はωの方へ行った。
「お前もそいつらの子供なら、犯罪者同然だ!あのお方を返せ!!」
「お、俺も・・・犯・・・罪者。」
「そうだ!!!あのお方を返せ!!!」
すると、どこからか、聞いた事のない男の声が響いてきた。
「やめなさい。アシュラン。」
「ショウド様!!」
響いてきた声は、女が、あのお方と言っていた人だった。
そして、女の名前は【アシュラン】あのお方の名前は【ショウド】だった。
「ショウド様!!なぜですか!?なぜその男をかばうのですか!?」
「アシュラン。わたしは、人間を怨んだりしてはいない。もちろん、ガルシルとアマニアもだ。」
「なぜですか!?ショウド様を殺した奴らですよ!!憎いじゃないですか!!」
「アシュラン、憎しみを持ってはいけない。」
「しかし、人間は弱いです!!だから、すぐに死ぬ生き物です!!
憎しみを持ってはいけないと言うのならば、せめて敵討ちを!!」
「そう。人間は弱い。だから、人神(じんじゅう)が、人間を守り、正しい道へ導くべきなのだ。」
そこに、蘊紀が口を出した。
「あの、ショウドさんの言っている事は正しいと思います。でも・・・何が正しい道で何が正しくない道かを決めるのは自分自身です。自分しかそれは決められない。だから、人神(じんじゅう)さん達と人間は、仲間って事のが正しいと私は思います。守るもの、守られるものではなく、仲間同士として、人間と向き合えばいいのじゃないですか?」
ショウドは微笑んだ。
「賢さなら、 人神(じんじゅう)より人間の方が上のようだな、アシュラン。」
「そう・・・ですね。ショウド様・・・。」
ショウドはωにちかずいた。
「先程は、アシュランが君に対して失礼な事を言った事を許してほしい。
すまなかった。わたしは、君の両親に殺されてよかったと思っている。」
「いえ、大丈夫です。でも・・・どうして、よかったと思ってるんですか?」
「生まれ変われた気がするんだ。新しい自分に。だから、もし、薬を見つけて生き返ったら、新しい自分を探そうと思う。」
アシュランは言った。
「ショウド様、その時も、私がお供致します。」