リアルフィクション2

犯罪者


二人はコールディアに向かう途中、大人達の事について語っていた。

「なぁ、蘊紀、自分の両親好きか?」

「私は・・・私の手で両親を殺したの。だから、好きでも嫌いでもないの。分からないから、親の温もりとか。」

「あ・・・蘊紀、ごめん。僕・・・。」

「えっ、ぜんぜん大丈夫だよ。それより、ωは両親好きなの?」

「僕は、嫌いだ。両親も大人も大嫌いだ!
大人は全員犯罪者だ。」

「でも、なんで?」

「あいつらが生き物を殺したんだ。僕は見たんだ。」

「ωは目で見えてる事しか信じないの?その人達の事情とかも考えないで、自分の意見だけで、犯罪者とか言っていいの?」

「・・・・・・。」

そのまま二人、無言で歩き続けていると、蘊紀が突然、前を指差しながら大きな声を出した。


「ω!!あれがコールディアじゃない!?」

「え?」

ωが蘊紀の指差している方向を見ると、すごく大きくて綺麗で全体が空色の街が見えてきた。

「ついに・・・コールディアに来れたな。蘊紀。」

「うん!!早く行こっ!!」


〜コールディア〜


「ここが、コールディア。オルゴールの音色が素敵ね、ω。」

「そりゃ、オルゴールの街だからな。世界一のオルゴールがコールディアにはそろってるんだ。」

「ここなら薬があるかも!!」

「じゃあさっそく、道具屋にいくぞ!!」

道具屋ヘωと蘊紀が走って行くと、店の人とあらそってる17歳ぐらいの男の子が居た。

「薬がないだと!?ふざけんな!!テメェ、どっかに隠してるんじゃねえだろうな!?」

「無い物は仕方ないだろう!!だから何回、言わせるんだ!?どこからか来た男性一人、女性一人が買いしめたと。」

それを聞いてωはそこに走って行った。

「おい、おじさん!男と女が来た時、絶滅がなんとか、とか言ってなかったか!?」

「あー、そう言えば絶滅させたのに生き返らされたら困るとか・・・。」

「くっ・・・犯罪者共が・・・くそっ!!」

「ω、それって・・・両親?」

「ああ、そうだ。蘊紀、俺の街に戻ろう。」


「う、うん。」

ωは、蘊紀を連れてコールディアを出た。

その場面を見ていた男の子は呟いた。

「なんだ?あの人たち。」

その頃、ωと蘊紀はωの街に着いてすぐに両親の所に行った。

「父さん!!母さん!!」

「ω・・・。」

「あ、ああ、こ、こんなことになるなんて・・・・。」

「父さん?」

「もう、生き物達が生き返る事はない。例え、薬を使っても。」

「な、なんだって!?そんなに・・・自分達が大事なのか!?自分達の為なら生き物達も殺すのか!?」

「ちょっとω、やめなさいよ。」

蘊紀が止めに入ったが、ωはそんな事聞こうともしなかった。

「答えてよ!!人間のかってな都合で生き物達は殺されるのか!?」

「ω!やめなさいってば!!私にはωの優しさが、想いがわかるよ。でも、そこまで自分の親を犯罪者扱いする必要ないでしょ!?」

「おじょうさん、いいのです。僕達が、生き物達を絶滅させたのですから。だから僕達は、最初からこうしてればよかった・・・。」

ωの両親はナイフを持って自分の腹に軽く当てた。

「ω、すまなかった・・・。本当にすまなかった。」

「ω、ごめんなさいね。お母さん、ωに何もしてあげられなかった。
しかも、こんな逃げるような事してごめんなさい。」

そしてとうとう、二人はナイフを腹に突き刺してしまった。

「父さん!!母さん!!まだ・・・まだ父さんと母さんには生き物を生き返らせる役があるだろぉ!!なんで死んでしまうんだよぉぉぉぉ!?」


ωは両目に涙をためて、両親の所に行こうとした。
しかし、それを蘊紀が止めた。

「ω、行っちゃだめよ!そしたら、あなたまで死んでしまう。」

「僕が・・・父さんと母さんを・・・。」

すると突然、どこかで聞いた男の子の声がした。

「そうだな、お前が両親を殺したんだな。お前も・・・犯罪者だな。」

「あなた、道具屋に居た人ね!?なんでそうゆう事言うの!?」

ωは下を向いた。

「いいよ、蘊紀。僕は、もう犯罪者だからさ。」